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すべての子どもにアドボカシーを

子どもアドボカシーAct for
まつしまようこ

 「子どもアドボカシー」という言葉を聞いたことがありますか? アドボカシーとは、簡単に訳すと「代弁する」という意味です。その他「支持する」、「擁護する」という意味合いも含まれます。具体的には、権利侵害を受け不利な立場に置かれた当事者の声を聴き、しかるべき相手や機関にその声を届け、改善していくという支援活動です。

 子どもアドボカシーは、国連子どもの権利条約が掲げる四つの柱、①生きる権利、②育つ権利、③守られる権利、④参加する権利のうち、④に該当する「子どもの意見表明権」を支援する活動です。日本でも子どもの権利条約に批准した1994年から保障されるべき権利でしたが、残念ながら「子どもは未熟で意見など言えない」「子どもの意見を聞くとわがままな子になる」という誤解や偏見のもと、なかなか定着しないまま時が過ぎてしまいました。2023年こども基本法が施行され、国が子どもアドボカシーに取り組んでいくことを表明し、約30年間の長い眠りから、ようやく子どもアドボカシーが目覚めたと言ってもよいでしょう。

 子どもアドボカシーAct forでは、学校問題における子どもアドボカシーを行っています。子どもは、大人と同等の言語能力や知識、経験をもっているわけではありません。子どもの心の声を聴きながら、言語化しきれなかった思いを汲み取り、その子の中にある希望の芽を大切に守りながら、学校や教育委員会、教育長、市長などに声を届け、改善のはたらきかけをしています。

 2024年文科省の発表によれば、全国の小中学校における不登校の児童生徒数は34万6482人にのぼり、11年連続の増加傾向にあることが判明しました。この調査結果を子どもの無気力だと結論付ける専門家もいます。しかし私共にご相談に来て下さるお子さんたちの実態は、いじめやスクールハラスメント(不適切指導)、面前叱責、発達特性が認められず支援が受けられなかった等、学校で何らかの権利侵害を受けていたケースばかりです。頑張り続けてきたけれど、ついにエネルギーが枯渇し、無気力状態に追い込まれてしまっただけなのです。学校が従来の管理教育を手放し、子どもの意見を反映させ、心理的安全性を保障する教育機関として生まれ変わる必要があるのではないでしょうか。

 つらい経験を重ねた子どもたちの胸の内には、必ず切なる願いがあります。はじめは、なかなか自分の言葉で表現できなかったお子さんでも、共感的対話とフィードバックを重ねていくうちに、ひとつひとつ紡ぎ出すように、胸に秘めた思いを語ってくれるようになります。それは「誰もいじめられない学校」であったり、「先生がキレない学校」であったり、「みんなが楽しくいられる学校」であったりします。

 怒鳴りつけや暴言、体罰が横行していた学校で、不登校になったお子さんのアドボカシーをしたときのことです。「机さん、かわいそうなの。先生にバシバシ叩かれて」「校舎さん、かわいそうなの。毎日怒鳴り声を聞かされて」「みんなと同じことができなくても悪くないんだよ。ゆっくりなお友達を怒らないで」低学年の男の子が、そう言いました。子どもならではの純粋無垢な表現に、私は心を打たれました。男の子の声を聴いた校長先生もハラスメントを根絶すると誓ってくれました。以後、怒鳴り声の止まった学校で、たくさんの子どもたちが安心して登校できるようになりました。

 「あなたの声には、世の中を良くする力がある」そう経験から理解してもらうことも、子どもアドボカシーの大きな目標のひとつです。みなさんも是非、お子さんの声を聴いてみてください。その子ならではの輝きを放ちながら、私たちの進むべき道を示してくれることでしょう。

子どもアドボカシーAct for
活動内容:こども支援(意見表明支援、学習支援、発達支援)、
保護者支援(保護者のためのピアサロン、カウンセリング、学校面談同行)、
教員支援(先生のためのほっとサロン、授業サポート、カウンセリング)
連絡先:kodomoadvocacy.actfor@gmail.com

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